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October 11, 2008

最後の授業

 郷里の先輩、Rちゃんの一年忌が近い。
50年ぶりの再会から5年、メールのやり取りでその生きざまを知るばかりであった。
多忙な公職と「冴え冴えと天衣無縫の癌転移」(田中ただし)と笑った病との闘いの合間に、なんと多くのことを教わったことだろう。
 さりげなく「きみ嫁けり遠き一つの訃に似たり」(高柳重信)や「魔女ひとり膝に抱えてたのしむわれは」(岡井隆)の句をメールに忍ばせて私を怒らせたのは、彼なりの余裕だったのか。
Rちゃんにとっていつまでも十代のままらしい私が、「老い」や「死」をその研究テーマにしたことは意外でもあり、それならあれもこれも語っておかねばと、心を騒がせてしまったかもかもしれない。しかし、表面いつも静かで平和な授業であったから、「モリー先生との火曜日」のような「最後の講義」だったとは気がつかないままであった。
「この仕事が終わったら、ホスピスに入れていただきます。天命でも神宜でも、受け入れ準備はOKだけど、としこちゃんにさよならが言えるかなぁ」と言うメールが最後であった。
 出来の悪い生徒は今頃
   いっしょに年をとろう! 
   最上のものはまだ先にある。
   人生の最後、そのためにこそ最初はつくられた  
              (ロバート・ブラウニング)
という送信されることのないメールを書いている。

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