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August 15, 2008

いまはもほほえむ

 八月十五日、暑い暑いと言っているうちに、朝夕はとんぼが舞う。
「とんぼうとまらせて三つのなきがらがきょうだい」の歌が思い出されて、悲しい。
長崎に原爆が落とされた九日の深夜、外出先から帰った作者は翌十日、路傍のガレキの下の“重傷の妻より子の最後をきく”
「わらうことをおぼえちぶさにいまわもほほえみ」
「母のそばまではうでてわろうてこときれて」
「この世の一夜を母のそばに月がさしてる顔」
「外には二つ、壕の中にも月さしてくるなきがら」

“ついに壕中に死す”中一の長男。
「臨終木の枝を口にうまかとばいさとうきびばい」

“十三日 妻死す(三十六歳)”
「ふところにしてトマト一つはヒロちゃんへこときれる」

“十五日 妻を焼く、終戦の詔下る。”
「なにもかもなくした手に四枚の爆死証明」

        「原爆句抄」    松尾あつゆき


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