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June 02, 2008

歌の力

 妻の提案で「かあさん」が入所している老人ホームを訪問しました。二年以上のご無沙汰でした。認知症の症状は前回の面会でも歴然としていました。 「かあさん」は私の恩人(ご夫妻)の奥様です。「とうさん」として慕ったご主人は既に他界されました。
 ひな祭りも過ぎていましたが、老人ホームのロビーにはまだひな壇が飾られていました。車椅子を押してホーム内を廻りました。広い廊下を移動しながら私が童謡を歌いました。最初は無反応でした。
それでも私が歌い続けると後頭部がメロディに合わせて揺れ出しました。声は出ませんがリズムが蘇ったように手も動き出しました。
「うれしいひな祭り」を歌ってから「背くらべ」に移って歌い続けました。♪柱に凭れりゃ すぐ見える 遠いお山も 背くらべ ・・・♪と快調に歌い続ける私に「ちがう」とクレームが付きました。
初めての反応です。歌を止めて「ちがってた?かあさん!」と言うと「うん」とハッキリと言葉が返ってきました。
 嬉しさに泣き崩れる妻と、もらい泣きする小生を交互にじっと見ながら「泣いちゃダメ」と言いたそうに辛そうな表情になりました。
 急いで涙を拭いて、車椅子を押して歩き出しました。「歌の力」は凄い。思い出の流行歌も歌いました。「かあさん」の嬉しそうな満面の笑みは何年ぶりに見ただろうか。歌の力に感動した妻も一緒に廊下を歌って廻りました。歌を歌えば表情が出る。嬉しさが笑顔を表出させる。面会直後の硬い頬の筋肉は、歌がその筋肉を緩ませま
した。85歳の認知症の老婆と童謡は無縁ではない。有効な「架け橋」だと改めて認識した訪問だった。
    [KUMON] 教育を考える 6月2日号  
    認知症の「かあさん」に笑顔が復活~角田 明さん

     

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