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June 01, 2007

六月の力こぶ

 六月    
                       茨木のり子

  どこかに美しい村はないか
  一日の仕事の終わりには一杯の黒麦酒
  鍬をたてかけ 籠を置き
  男も女も大きなジョッキをかたむける

  どこかに美しい街はないか
  食べられる実をつけた街路樹が
  どこまでも続き すみれいろした夕暮は
  若者のやさしいさざめきで満ち満ちる

  どこかに美しい人と人との力はないか
  同じ時代をともに生きる
  したしさとおかしさと そうして怒りが
  鋭い力となって たちあらわれる

             (詩集「見えない配達夫」S33.から)

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